形而上学(metaphysics)を行うときに、避けては通れないのが形而上学はどういう営みなのかについてを考察する営みであるメタ形而上学(metametaphysics)。この二つを中心とした著作を駆け足で読む読書会ユニットです。

もともとは東京近郊(とくにJR中央・総武線沿線)で活動をしていましたが、昨今のCOVID-19の影響を鑑み、しばらくはビデオ通話による運営です。

参加希望者へ

主宰の遠藤進平 まで、以下の内容を書いたメールをください。

  • 氏名
  • 所属
  • 当会を知った経緯
  • 読みたい本
  • そのほか質問なども気軽にどうぞ。

連絡などは哲学オンラインセミナー内の専用チャンネルを使う予定です。

会の方針

  • 拙くとも速く 最大2ヶ月をめどに単著を読み切る

  • 怠惰は美徳 参加者の負担をすくなく

  • 死人に口なし 形而上学、メタ形而上学を中心とした、現在も活動中の哲学者による英語著作を読む

  • 沈黙は金、ただしそれでは換金できない 書評の共同執筆や公開合評会など、読んでおしまいにしない

  • 去るもの追わず 固定したメンバーではなく、各シーズン(読む本)ごとに抜けたり入ったり ヒップホップでいうところのウータン・クランのような運用

  • 反、ないし脱マッチョイズム だれもが居心地のよい議論の環境を用意することは哲学分野の生存のための必須要件だと考えます あらゆるハラスメントや差別を非難し、有効な対策をうちます

キーワード

形而上学 メタ形而上学 概念分析 概念工学 様相

これまでに読んだ本

  • Sider, Theodore. Writing the Book of the World. Oxford University Press, 2012.

  • Yagisawa, Takashi. Worlds and Individuals, Possible and Otherwise. Oxford University Press, 2010.

  • Williamson, Timothy. The Philosophy of Philosophy. Blackwell Publishing, 2007.

  • Cappelen, Herman. Fixing Language: An Essay on Conceptual Engineering. Oxford University Press, 2018.

  • Hofweber, Thomas. Ontology and the Ambitions of Metaphysics. Oxford University Press, 2016.

これから読みたい本企画

おんとうろじーず3

2020年内は「おんとうろじーず:穏健化する形而上学としての自然主義とそれへの対峙」と(仮)題して、ひろく自然主義の立場からよる形而上学への批判ないしは再構築の著作をとりあつかう予定です。「直観だよりをやめろ。ちゃんと実験をしてみろ」「形而上学などやって才能と時間を無駄にするな。物理学をしろ」「第一哲学とか偉そうなことを言うな」などなど、形而上学へは手厳しい意見が数多く寄せられています。それらの背景にある共通項――それはおそらく「穏当化」という点にあるのではないか、という見立てをおいています――を抽出し、各論を吟味します。そのうえで形而上学が可能なのか、可能だとしたらどのような形でなのか、を考えたいと思っています。

  • Machery, Edouard. Philosophy Within Its Proper Bounds. Oxford University Press, 2017. https://doi.org/10.1093/oso/9780198807520.001.0001.

  • Ladyman, James, Don Ross, and and David Spurrett with John Collier. Every Thing Must Go. Oxford University Press, 2007. http://www.oxfordscholarship.com/view/10.1093/acprof:oso/9780199276196.001.0001/acprof-9780199276196.

  • Maddy, Penelope. Second Philosophy: A Naturalistic Method. Oxford: Oxford University Press, 2007.

  • Thomasson, Amie L. Ontology Made Easy. Oxford University Press, 2015. https://doi.org/10.1021/cg801198p.

超内包へ

そのあとは、可能世界以降の形而上学リバイバルのさらなる展開である、超内包 hyper-intensionalityまわりについても集中的に読みたいと思っています。すでに読んだ八木沢もこの流れです。

  • Yablo, Stephen. Aboutness. Princeton and Oxford: Princeton University Press, 2014. (現在、鋭意計画中)

  • Berto, Francesco, and Mark Jago. Impossible Worlds. First edition. Oxford: Oxford University Press, 2019.

概念工学

メタ形而上学、とくに方法論は方法論でまとめてよむそんな時期があってもいいかもしれない。概念工学のことも忘れていませんよ。世間は知りませんが、わたしは。とりわけ、概念工学者間でのスーパースター(自身は概念工学とは自認していないが)であるハスランガーの仕事は、Black Lives Matter(人種)そしてMeToo(性)といった現代の状況を読み解くヒントにもなりそうです。

  • Chalmers, David J., David Manley, and Ryan Wasserman, eds. Metametaphysics: New Essays on the Foundations of Ontology. Oxford: Clarendon Press, 2009.

  • Haslanger, Sally. Resisting Reality: Social Construction and Social Critique. Oxford University Press, 2012. https://doi.org/10.1093/acprof:oso/9780199892631.001.0001.

その他

いわゆるエイベイ系ブンセキ系にかぎらず、幅広い関心やバックグラウンドのひとたちの議論プラットフォームになればよいと願っています。このあたりを読んで、ハイデゲリアンとの交流も深めたい。似たようなノリでベルクソニアンとも交流を深めたい。ブンセキ・タイリクの区分については、そもそもちゃんとどちらかのトライブに属せている人が何人いるのかと思うのと(名古屋の楽器屋でみた「西海岸系」に近いものを感ずる)、そもそも、通常思われるほどそんなに違うことについて話しているとは思わないのです。

  • McDaniel, Kris. The Fragmentation of Being. Oxford, United Kingdom: Oxford University Press, 2017.

曖昧性は個人的に関心があるのと、言語のブンセキが形而上学、さらには方法論にも接地するよいモデルケースだと思うのでやってみてもいいかも

  • Smith, Nicholas J.J. Vagueness and Degrees of Truth. Oxford University Press, 2008. https://doi.org/10.1093/acprof:oso/9780199233007.001.0001.

過去の参加者(ただいま制作中)